「承知しました」ということばは、日常的なビジネスの場面に、よく出てくる、ある種、決まり文句のようなことばです。
そのためか、あまり気にもかけず、無意識に使っていることばでもあります。
時には、「承知致しました」とか「了解しました」と、言うこともあります。
些細な違いではありますが、確かに言い方は違います。
そこには、何か、違いがあるのでしょうか。
- 「承知しました」の意味は
- 説明の中の「承諾」の意味は
- 「承知しました」は、全てを引き受けるということ
- 「承知致しました」と「承知しました」は違うのか
- 「了解しました」と「承知しました」との違いは
- 「了承」「領解」の意味とは
- 「了解しました」と「承知しました」は、どちらを使っても良いか
1. 「承知しました」の意味は
「承知しました」のことばにある「承知」には、どんな意味があるのでしょうか。
国語辞典で調べてみると、次のような説明が、記載されています。
- ア)知っていること。わかっていること。「いきさつは—しております」
- イ)聞き入れること。承諾すること。「解約の件は—できない」
- ウ)許すこと。多く否定の形で「許さない」「かん弁しない」の意を表す。「そんなことをしたら—しないぞ」
2. 説明の中の「承諾」の意味は
さらに、説明の中に出てくる「承諾」とはどういうことか、重ねて調べてみると、次のようになっています。
ア)他人の依頼・要求などを、もっともと思い、引き受けること。
承知⇔拒否「移転を—する」「—できない」
3. 「承知しました」は、全てを引き受けるということ
こうして調べてみると「承知しました」の意味は、ただ単に、知りました、理解しましたということを表明するという、単純なものではないようです。
相手方の依頼や要求を「もっともと思い」とありますから、もっともなことだと全面的に肯定して、「引き受ける」ですから、文字通り、相手方の依頼内容や要求を丸呑みにして、引き受けるということです。
従って、聞き慣れたことばではありますが、軽々に口にすべきことばではないようです。
まして、相手方が、企画や事業内容について、十分な説明もしていない段階で、「承知しました」と、発言したのでは、「本当に、解っているのかな」
という疑問を相手に生じさせることにもなりかねません。
しかし、一般的に広く使われていることばなので、
相手も、そこまで深くは、ことばの意味しているものを追求してはいないかもしれません。
4. 「承知致しました」と「承知しました」は違うのか
「承知しました」とほぼ同じですが「承知致しました」という言い方や文に出会うことがあります。
この違いは、どこにあるのでしょうか。
それは、謙譲の意を含むか、否かの違いです。
「しました」は、単なる「する」という行為(ここでは、「承知する」)そのものを表していますが、「致しました」は、「いたす」という「する」という行為の丁寧語であり、自己の動作を低めて言うことで、相手への敬意を表す謙譲語にもなります。
従って、文書やメールにする場合には、「承知しました」とするよりも「承知致しました」と記載する方が、視覚的にも文章的にも丁寧に見えて、相手に敬意を払っている様子が伝わります。
電話など、口頭で回答する場合には、「承知しました」でも、構いません。
逆に、言い慣れているからと「承知致しました」と謙譲的な表現を使うと、その他の会話部分でも、気を付けて、謙譲的な表現をする必要性がでてきます。
例えば「あとで電話いたします」で済むところが、「あとで電話を差し上げます」なり
「電話をさせていただきます」なりの謙譲の意を含む言い方で返答することが、求められることになります。
つい「承知致しました」と言いそうですが、ここで謙譲的な表現を使うと後の部分との整合性で、足元を見られることになってしまうことがありますので、要注意です。
間違っても「あとで電話します」などと言ったらアウトです。
5. 「了解しました」と「承知しました」との違いは
「承知しました」によく似た表現に「了解しました」ということばがあります。
仲間内で、飲み会などの計画をするときなどは「了解しました」という表現をよく使いますが、
「承知しました」の代わりに「了解しました」とは、使えないのでしょうか。
「了解」を、国語辞典で引くと、次のように記載されています
事情を思いやって納得すること。
理解すること。
のみこむこと。
了承。
領解。
「事情を—する」「—できない」
「事情を思いやって」ということは、「承諾」の「依頼・要求などを、もっともと思い」の部分が意味しているものと同じです。
「理解すること。
のみこむこと」とあるのは、「承知」の「聞き入れること」や「承諾」の「引き受けること」と同じ意味合いのことばとしてとらえられます。
そうしてみると「承知しました」と「了解しました」とは、同じ意味を表すことばだと言えます。
6. 「了承」「領解」の意味とは
了解の説明の中にある「了承」「領解」につて、さらに国語辞典を引いてみると、次のように記載されています。
「了承」とは、
- ア)事情をくんで納得すること。承知すること。領掌。「相手の—を得る」「よろしく御—下さい」「申し出の件—しました」 (※領掌…了承と同じ)「領解」とは
- ア)了解に同じ。
同じようなところを堂々巡りしているようですが、これらのことから解ったことは、「了解しました」と「承知しました」は、同じ意味をもったことばであることです。
ということは、どちらを使っても良いということになります。
しかし、意味は同じでも、表現が違う以上、使い方などに差があるはずです。
次に、その差について、見ていきましょう。
7. 「了解しました」と「承知しました」は、どちらを使っても良いか
両者は、意味の上では同じであることが解りました。
ということは、どちらを使っても構わないようですが、上司への返答に「了解しました」や新しいビジネスのお客さんに
「了解です」というのは、いただけません。
これは、「承知しました」の中の「承」の字に因る結果なのです。
「承」の字は、音読みすると「承る」という目上の人に対して使う丁寧な表現を含んでいます。
従って、上司や新しいお客さんに対しては、失礼のない表現となります。
対する「了解しました」は、くだけた表現ですので、使える範囲が限られます。
その点、「承知しました」は、オールラウンドに使えることばです。
「承知しました」ということばは、日常的なビジネスの場面に、よく出てくる、ある種、決まり文句のようなことばです。
そのためか、あまり気にもかけず、無意識に使っていることばでもあります。
時には、「承知致しました」とか「了解しました」と、言うこともあります。
些細な違いではありますが、確かに言い方は違います。
そこには、何か、違いがあるのでしょうか。
1. 「承知しました」の意味は
「承知しました」のことばにある「承知」には、どんな意味があるのでしょうか。
国語辞典で調べてみると、次のような説明が、記載されています。
- ア)知っていること。わかっていること。「いきさつは—しております」
- イ)聞き入れること。承諾すること。「解約の件は—できない」
- ウ)許すこと。多く否定の形で「許さない」「かん弁しない」の意を表す。「そんなことをしたら—しないぞ」
2. 説明の中の「承諾」の意味は
さらに、説明の中に出てくる「承諾」とはどういうことか、重ねて調べてみると、次のようになっています。
ア)他人の依頼・要求などを、もっともと思い、引き受けること。
承知⇔拒否「移転を—する」「—できない」
3. 「承知しました」は、全てを引き受けるということ
こうして調べてみると「承知しました」の意味は、ただ単に、知りました、理解しましたということを表明するという、単純なものではないようです。
相手方の依頼や要求を「もっともと思い」とありますから、もっともなことだと全面的に肯定して、「引き受ける」ですから、文字通り、相手方の依頼内容や要求を丸呑みにして、引き受けるということです。
従って、聞き慣れたことばではありますが、軽々に口にすべきことばではないようです。
まして、相手方が、企画や事業内容について、十分な説明もしていない段階で、「承知しました」と、発言したのでは、「本当に、解っているのかな」
という疑問を相手に生じさせることにもなりかねません。
しかし、一般的に広く使われていることばなので、
相手も、そこまで深くは、ことばの意味しているものを追求してはいないかもしれません。
4. 「承知致しました」と「承知しました」は違うのか
「承知しました」とほぼ同じですが「承知致しました」という言い方や文に出会うことがあります。
この違いは、どこにあるのでしょうか。
それは、謙譲の意を含むか、否かの違いです。
「しました」は、単なる「する」という行為(ここでは、「承知する」)そのものを表していますが、「致しました」は、「いたす」という「する」という行為の丁寧語であり、自己の動作を低めて言うことで、相手への敬意を表す謙譲語にもなります。
従って、文書やメールにする場合には、「承知しました」とするよりも「承知致しました」と記載する方が、視覚的にも文章的にも丁寧に見えて、相手に敬意を払っている様子が伝わります。
電話など、口頭で回答する場合には、「承知しました」でも、構いません。
逆に、言い慣れているからと「承知致しました」と謙譲的な表現を使うと、その他の会話部分でも、気を付けて、謙譲的な表現をする必要性がでてきます。
例えば「あとで電話いたします」で済むところが、「あとで電話を差し上げます」なり
「電話をさせていただきます」なりの謙譲の意を含む言い方で返答することが、求められることになります。
つい「承知致しました」と言いそうですが、ここで謙譲的な表現を使うと後の部分との整合性で、足元を見られることになってしまうことがありますので、要注意です。
間違っても「あとで電話します」などと言ったらアウトです。
5. 「了解しました」と「承知しました」との違いは
「承知しました」によく似た表現に「了解しました」ということばがあります。
仲間内で、飲み会などの計画をするときなどは「了解しました」という表現をよく使いますが、
「承知しました」の代わりに「了解しました」とは、使えないのでしょうか。
「了解」を、国語辞典で引くと、次のように記載されています
事情を思いやって納得すること。
理解すること。
のみこむこと。
了承。
領解。
「事情を—する」「—できない」
「事情を思いやって」ということは、「承諾」の「依頼・要求などを、もっともと思い」の部分が意味しているものと同じです。
「理解すること。
のみこむこと」とあるのは、「承知」の「聞き入れること」や「承諾」の「引き受けること」と同じ意味合いのことばとしてとらえられます。
そうしてみると「承知しました」と「了解しました」とは、同じ意味を表すことばだと言えます。
6. 「了承」「領解」の意味とは
了解の説明の中にある「了承」「領解」につて、さらに国語辞典を引いてみると、次のように記載されています。
「了承」とは、
- ア)事情をくんで納得すること。承知すること。領掌。「相手の—を得る」「よろしく御—下さい」「申し出の件—しました」 (※領掌…了承と同じ)「領解」とは
- ア)了解に同じ。
同じようなところを堂々巡りしているようですが、これらのことから解ったことは、「了解しました」と「承知しました」は、同じ意味をもったことばであることです。
ということは、どちらを使っても良いということになります。
しかし、意味は同じでも、表現が違う以上、使い方などに差があるはずです。
次に、その差について、見ていきましょう。
7. 「了解しました」と「承知しました」は、どちらを使っても良いか
両者は、意味の上では同じであることが解りました。
ということは、どちらを使っても構わないようですが、上司への返答に「了解しました」や新しいビジネスのお客さんに
「了解です」というのは、いただけません。
これは、「承知しました」の中の「承」の字に因る結果なのです。
「承」の字は、音読みすると「承る」という目上の人に対して使う丁寧な表現を含んでいます。
従って、上司や新しいお客さんに対しては、失礼のない表現となります。
対する「了解しました」は、くだけた表現ですので、使える範囲が限られます。
その点、「承知しました」は、オールラウンドに使えることばです。